5期創設記念式典シンポジウム
次世代の環境調和高機能型電気エネルギー材料機器システム構築

日 時:平成22年4月22日(木) 13:00~19:00
場 所:名古屋大学 環境総合館1階 レクチャーホール

創設記念式典

司会:大日方五郎

  • 「式辞」 高井治  (名古屋大学 エコトピア科学研究所長)
  • 「挨拶」 濱口道成 (名古屋大学 総長)
  • 「感謝状贈呈」
  • 「来賓挨拶」 三田敏雄 (中部電力株式会社 代表取締役社長 社長執行役員)
  • 「閉会の辞」 
創設記念シンポジウム

司会:早川直樹

  •  「挨拶」   鈴置保雄 (名古屋大学工学研究科長)
  • 「名古屋大学における寄附研究部門の教育・研究活動~第4期活動報告と第5期活動方針~」
            遠藤奎将、小島寛樹、花井正広 (名古屋大学)

司会:大久保仁

  •  「持続的発展社会を支える大電流エネルギー技術」  松村年郎 (名古屋大学)
  •  「次世代に向けた電力流通設備の基盤技術開発」   藤波秀雄 (電力中央研究所)
  • 「環境負荷低減に向けたエネルギーシステム技術」  加藤丈佳 (名古屋大学)
  • 「環境に調和した先進エネルギー材料・機器技術」  大木義路 (早稲田大学)
     
  • 「地球環境と共生する電気エネルギー安定供給技術」 大田文夫 (中部電力)
  • 「次世代の革新的・高機能型電力機器・システム技術」早川直樹 (名古屋大学)
概要

平成22年4月22日(木)、名古屋大学環境総合館レクチャーホールにおいて、エネルギーシステム(中部電力)寄附研究部門(第5期)の創設記念式典及びシンポジウムが開催されました。

本寄附研究部門は、平成8年に当時の理工科学総合研究センターに第1期が創設されてから15年目を迎えており、この度、平成22年4月から平成26年3月までの期間で設置されました第5期においては、「次世代の持続的発展・低炭素社会を支える環境調和・高機能型電気エネルギーシステムの構築」をテーマに掲げています。

創設記念式典には、藍田正和中部電力株式会社取締役専務執行役員技術開発本部長、濵口道成総長、高井治所長、関係部局長等、寄附研究部門第5期創設に係る双方の関係者に御列席いただきました。

大日方五郎副所長の開会の辞、高井所長の式辞、濵口総長の挨拶の後、濵口総長から藍田取締役へ感謝状及び記念品の贈呈があり、所用により急遽欠席されました三田敏雄中部電力株式会社代表取締役社長の祝辞を藍田取締役が代読されました。

引き続き、創設記念シンポジウムが開催され、最初に鈴置保雄工学研究科長から挨拶があり、第1部では、早川直樹エコトピア科学研究所教授の司会の下、平成22年3月まで本研究所の客員教授であった遠藤奎将氏、及び小島寛樹寄附研究部門准教授から寄附研究部門における第4期の活動報告があり、その後、花井正広寄附研究部門教授から、第5期の活動方針について説明がありました。

第4期では、持続的発展社会に向けた電気エネルギーシステムの革新をテーマとして、大学と社会の連携に基づく機動的・弾力的な研究を実施し、ハードからシステムに亘る広い視点から、将来の最適なエネルギーシステムの要素技術とシステム技術の開発・最適化を行ってきました。遠藤氏からは高柔軟型電力システム・設備のライフサイクルマネジメントを目指したIT融合型最適送変電システム(IGMS)や機器診断技術の開発に関する研究成果などが報告され、小島准教授からは、環境低負荷型次世代電力設備・材料の開発と題して、部分放電・絶縁破壊物理に関する研究や超電導電力応用技術の研究成果について報告がされました。また、新技術の社会的合意形成に向けて、シンポジウム、ワークショップ、市民公開講座などを多数開催したことが併せて報告されました。また、花井教授による第5期活動方針の説明では、将来の省資源・省エネ、地球環境保護、安全・安心・豊かな社会を目指し、次世代の環境調和・高機能型電気エネルギーシステムの構築に向けた研究を、物理・材料・機器・システムの統合的な視点で進めていくことが述べられました。

第2部では、大久保仁工学研究科教授の司会の下、松村年郎工学研究科教授、
藤波秀雄財団法人電力中央研究所電力技術研究所長、加藤丈佳工学研究科准教授、大木義路早稲田大学先進理工学研究科教授、大田文夫中部電力株式会社技術開発本部電力技術研究所長、早川直樹教授から、それぞれ講演が行われ、聴衆は熱心に聞き入っていました。松村教授からは「持続的発展社会を支える大電流エネルギー技術」と題して、環境調和ガスを用いた遮断器の開発や、超電導限流器の開発に関する研究の動向について述べられました。

藤波氏からは「次世代に向けた電力流通設備の基盤技術開発」として、日本における次世代グリッドの実現に向けた基盤技術開発の動向について講演がされました。加藤准教授からは「環境負荷低減に向けたエネルギーシステム技術」の題目で、CO2削減を目指したエネルギー源の多様化・分散化への対応のため、社会システムとの連携が必要不可欠であることが強調されました。大木教授からは、「環境に調和した先進エネルギー材料・機器技術」と題して、生分解性高分子材料やポリマーナノコンポジット等の誘電体を中心とした新素材・材料・機器技術の最近の成果について講演がされました。

大田氏は、「地球環境と共生する電気エネルギー安定技術」の題目で、低炭素社会の実現に向けた取組として、供給面からCO2排出の少ない原子力発電や再生可能エネルギーの利用の促進、需要面から省エネルギーの推進を行ってきていることが紹介されました。最後に早川教授からは、「次世代の革新的・高機能型電力機器・システム技術」と題して、次世代の電気エネルギー流通システムが目指すべき姿について、超電導技術の導入やシステムコーディネーション、スマートグリッド等の観点から講演がされました。

本シンポジウムには約130人が参加し、次世代の環境調和・高機能型電気エネルギーシステムに対して必要となる技術課題やコンセプトが大学・産業界双方の立場から講演及び議論がされるとともに、エネルギーシステム(中部電力)寄附研究部門の第5期の活動への期待が寄せられ、盛況のうちに幕を閉じました。